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SS生物ユニット講座「組織切片を用いた免疫組織化学」を行いました。

平成26年9月28日(日)にSSH事業として「組織切片を用いた免疫組織化学」を埼玉大学大学院理工学研究科 准教授 坂田一郎先生と細胞制御学研究室のTA5名のご指導により埼玉大学理学部生体制御学科二号館4階学生実習室で1、2、3年生の希望者23名を対象に実施しました。また、それに先だって、前日に本校で抗原と抗体、抗原抗体反応、免疫組織化学の原理、組織切片の作製等について事前講義を実施しました。

 

埼玉大学で実施された実験は、次のとおりです。

実験の概要

マウス胃壁の組織切片を用いて、食欲促進ホルモンであるグレリンの産生細胞をABC法と蛍光染色の2種類の免疫組織化学の方法で可視化して観察しました。また、組織切片の作製方法と蛍光光学顕微鏡の使い方について学習しました。

 

実験の内容

(1) ABC法・DAB発色による免疫染色および光学顕微鏡観察とスケッチ

(2)   蛍光染色および蛍光顕微鏡による観察・写真撮影

(3) 滑走式ミクロトームによるマウス胃壁の切片作製

(4)   絶食マウスと自由摂食マウスのグレリン産生細胞数の比較とその考察



 
スライドグラス上の切片の周囲をパップペンで撥水性の円を描き、抗体等の流出を防止する。


切片に1次抗体(ウサギ抗マウスグレリン抗体)を載せる。


2次抗体(ビオチン標識ヤギ抗ウサギIgG)反応、ABC反応、DAB発色を終えた切片をエタノールとキシレンに浸し、脱水・透徹する。


カバーガラスをかけ、切片を封入する。


パラフィンで包埋された試料を滑走式ミクロトームで極めて薄く均一の切片に切り出す。


2次抗体に標識された酵素で無色のDAB(ジアミノベンジジン)を酸化させて茶色に変化させる(DAB発色)。上記は、マウスの胃壁の切片を光学顕微鏡で観察した写真。小さな斑紋がグレリン産生細胞です。


高倍率で観察した胃壁の組織。茶色に染色されたものがグレリン産生細胞です。


蛍光染色した胃壁の切片。Fedは、自由摂食、Fastは、48時間絶食。上の写真で光っているものがグレリン産生細胞です。下の写真は、細胞の核をDAPIで発色させている(細胞数が分かる)。

 マウス胃壁のグレリン産生細胞を可視化して観察する実験をとおして免疫組織化学の原理と方法を体験的に理解することができ、とても有意義でした。また、実験結果から摂食条件によりグレリン産生細胞数が異なる理由を考察し、動物の摂食量の調節のしくみを理解することができました。

 

実験内容は、大学3年生相当であったのですが、事前講義と講師の分かり易い説明、TAの個別指導により免疫組織化学の理解を深めることができました。

 

また、大学の研究室見学やTAとのコミュニケーションにより生命科学系の研究や学生生活、大学の雰囲気等に直接触れる機会にもなり、生徒の進学意識や学習意欲によい影響を与えることができたと思います。

 

生徒は、この講座に参加して生命現象や生物、バイオテクノロジー(生命工学)により強い興味を持ったようでした。この体験が将来の進路や職業の選択の一助になればよいと考えています。