校長日誌

不動岡高校 校長日誌2024「進取の気風」

6月20日(木)進取の気風No.65 「ブログの言い訳」

 晴れ後曇り最高気温31度。いよいよ今度の日曜にあたりから梅雨入りとなるのでしょうか。蒸し暑い日が続くことになります。不動岡生の皆さん、体調管理には気をつけてください。

 先日、第106回全国高等学校野球選手権埼玉大会の抽選結果が新聞に掲載されました。本校は7月14日が初戦で相手は狭山工業高校です。今大会から勝ったら甲子園のように校歌が流れると聞いています。球場で勝利後の校歌を共に歌いたいものです。どこが勝ち上がるかはわかりませんが是非ともベスト16以上を目指して持てる力を全て出し切って戦って欲しいです。女子校務の頃は、この時期になっても野球の話題が職員室で上がらず寂しい思いをした記憶があります。野球だけが特別ではありませんが、甲子園をかけた試合に一喜一憂する季節がやってきました。野球部の皆さん、頑張ってください。

 「校長先生はいつブログを書いているのですか?」と質問を受けることがあります。私は異動して家が近くなったこともあり、朝早く学校に来て書くこともあれば、放課後落ち着いた時に書くこともあります。書き始めると集中するので、大抵、30分程度で書き終えます。問題は「何を書くか」です。その日にふと思いついて書くこともありますが、不動岡高校の校長になってから、新聞を読む時も、テレビを見ている時も、スマホでネット検索している時も、本を読んでいる時も、散歩している時も、電車に乗っている時も、研修や会議に出ている時も、常に不動岡生に伝えたいことはないかと考えるようになりました。ですから、休みの時も思いついたことを家でメモしておくこともあります。学術書を書くわけではないのでブログ本来の「気楽な」ものにしたいと常々思ってはいるのですが、ついつい理屈っぽくなって文章が長くなり、ますます現役の不動岡生に敬遠されるブログになってしまっている、そういう自覚はちゃんとあります。公式インスタを始めたので日々の不動岡生の姿はお知らせすることができ、軽めの内容はそちら任せてあるという安心感からか、ついついお堅めのブログになってしまうのでしょうか。まあ、公式インスタを始める前から文章は長かったですが…。とにかく、日常が「不動岡高校」のことばかりです。ですから、不動岡高校の校長の任期(「人気」ではなく…)が切れたら腑抜けになってしまうのではないかと勝手に自分で心配しています。現役の不動岡生には私の高校時代の話や同級生や先輩方のこと、不動岡の歴史のこと、不動岡の先生方のこと、加須のこと、私が覚えていることやこれから調べること等を伝えておきたいのです。中学生の受験生の中にもこの「校長日誌」を読んでくれている人がいると聞きました。不動岡高校に入学したいと思ってくれている中学生にもこの不動岡高校をより知ってもらえればとても嬉しいです。とはいえ、やはり毎日続ける自信はございません。悪しからず、ということで…。

6月19日(水)進取の気風No.64 「情熱とやる気との違い」

 晴れ最高気温32度。昨日とは打って変わって清々しい朝でした。

 さて、「今日はなんかやる気が出ない」と言いますが、「今日はなんか情熱がない」とは言いません。「吹奏楽にかける情熱がすごい」と言いますが、「吹奏楽にかけるやる気がすごい」とは言いません。情熱は『長い線』みたいなもので1週間や2週間で消えるものではないのに対し、やる気は『小さな点』であり、10分や20分で消えてしまうこともあります。情熱がある人は長期間にわたって熱中しているので周囲にもわかるものです。勉強に「やる気」が出ない日もあるでしょうが、その「やる気」を長期にわたって続けていけば、それは「情熱」に変わります。大きな行事も終わり、いよいよ受験勉強を本格的に始めることになります。「情熱」を持って受験勉強に取り組んでください。サッカー部を始め、部活動を続けている3年生もいますが、「文武両道」の精神で最後の大会まで最善を尽くして頑張って欲しいと思います。

 「やる気」と言えば、前述した「『鬼滅の刃』で心理分析できる本(清田予紀 三笠書房」という本の中に「『やる気スイッチを押す天才・胡蝶しのぶ」という章があります。「鬼滅の刃」というアニメには個性あふれる登場人物が沢山現れますが、その中に嘴平伊之助と我妻善逸というキャラクターがいます。二人とも性格や能力がまるで違いますが、面白いのは胡蝶しのぶが二人に対してかけた言葉です。胡蝶しのぶが2人に初歩的で基本の技を教える際に、「まぁ、できて当然ですけれども仕方ないです。できないならしょうがない、しょうがない。」と負けん気が強く猪突猛進型の伊之助を大奮起させました。一方で、自己肯定感の低い善逸には、手をギュッと握って、「頑張ってください、善逸君、一番応援してますよ。」と特別扱いして励ますことで大奮起させていました。

 教員にとっては、担当する40人近い生徒一人一人に見合った言葉がけをするのは難しいですが、「やる気ボタン」は人それぞれです。教員にも当てはまりますが、ついつい親の立場だと「勉強しなさい、大丈夫なの?」と言いたくなることもあるでしょう。しかし、言ったところで「やる気ボタン」はONになりません。ONになるどころかOFFがロックされてしまう恐れもあります。最終的には本人次第ですが、人生の先輩として言葉がけ・声かけに気を配り、時には何も言わずに「待つこと」も必要なのかもしれません。問題は「よし、頑張ろう!」と本人が思うのがいつなのかということです。私は父から「お前は大器晩成型だな。」とよく言われました。なかなか本気を出さない自分にかけた言葉だったのかも知れません。本人の「やる気」がいつか出ることを信じ、そして、その「やる気」が「情熱」に代わることを信じたいものです。

 昨日は出張等で不在でしたが、その間にPTA華道サークルの方々が花を活けてくださいました。今回はガマ、スカシユリ、ナデシコの作品です。ユリの花はまだ蕾ですが咲いたらきっと美しいでしょうね。ありがとうございました。

6月18日(火)進取の気風No.63 「何のために『学ぶ』のか」

 雨後曇り最高気温24度。朝から雨でした。ちょうど4限が終わる頃に雨脚が強くなりました。三者面談二日目です。保護者の皆様、足元の悪い中、ご来校いただきありがとうございます。

 ところで、昨日は3年生進路講演会があり、駿台予備校大宮校校長・英語科講師の大島保彦先生を講師としてお招きいたしました。出張する直前でゆっくりとお話しする時間がありませんでしたが、「限りない自分の力で未来を創る」という演題を拝見して感動しました。予備校の講師なので大学入試に特化したお話だと思っていましたが、大学受験のプロがこれから本格的な受験勉強を始める3年生に対して、大きな視野で人生の道しるべとなるような演題を用意してくださっていたからです。是非とも拝聴したかったですが、きっと3年生の心に響くお話だったと察します。大島先生、ありがとうございました。

 さて、またお堅い話ですみません。筑摩書房のちくまプリマー新書に「中学生からの大学講義」というシリーズがあります。私が第1巻を購入した時には既に第5巻までありました。第1巻が「何のために『学ぶ』のか」、第2巻が「考える方法」、第3巻が「科学は未来をひらく」、第4巻が「揺らぐ世界」、第5巻が「生き抜く力を身につける」というテーマになっています。第1巻の初版が2015年1月10日です。今から8年も前に刊行された本ですが、第1巻の冒頭に「『今こそ、学ぶのだ!』宣言」のページがあり、その最後の方に「正解のない問いに直面した時こそ、必要な“考える力”を育むヒントになると思います。変化の激しい時代を生き抜くために、今こそ学ぶのだ!」と書いてあります。まさに新学習指導要領の中心となっているものです。

 第1巻の7人の著者も有名な方たちばかりです。外山滋比古氏「知ること、考えること」、前田英樹氏「独学する心」、今福龍太氏「学問の殻を破る」、茂木健一郎氏「脳の上手な使い方」、本川達雄氏「生物学を学ぶ意義」、小林康夫氏「学ぶことの根拠」、鷲田清一氏「『賢くある』ということ」という内容です。私がこの第1巻をいつ購入したか覚えていませんが、もしいつか進学校の校長になることがあったら是非とも生徒に読んでもらいたいと思った本の1つで、ずっと手元に置いておきました。「中学生からの大学講義」とありますが、大人が読んでも面白く深く考えさせられる内容であり、果たしてこれを中学生向けに書いたのかと思うほどです。筑摩書房が桐光学園と共同で編集したシリーズで、神奈川県にある超一流の中高一貫校である桐光学園の教育方針が反映されているのでしょう。進学校の校長として「現役合格率」「国公立大学・難関私立大学の合格実績」という数値目標に注目しがちですが、この本が「何を学びたいのか」という根本的な自らへの問いに対する様々な働きかけをしている点に私は着目しています。現在の成績や模試の結果から「行ける大学」を絞っていくのは当然のことかも知れませんが、「何を学びたいか」「どの大学で学びたいか」「学びたいことを学べる学部・学科はどこか」という問いに対して真剣に考えるきっかけを与えてくれる本です。「学問」という観点で専門分野のスペシャリストの方々が「考えるヒント」を記してくれています。

 ちょうど今、三者面談中です。3年生の中には既に進路が決定している人もいるでしょうが、1,2年生にとってはもしかしたら人生を変えてくれる本かも知れません。興味があったらではなく、是非とも不動岡生全員に読んでもらいたいシリーズです。

6月17日(月)進取の気風No.62 「プロの料理人」

 晴れ後曇り最高気温32度。とても蒸し暑い一日です。15日(土)のTBS「情報7daysニュースキャスター」は女子バレーがセルビア相手にストレート勝ちして放送が繰り上がったため、予約していたのに油断してうまく録画ができませんでした。残念です。テロップの「ふどかこうこう」はTBSの痛恨のミスでしたが、約6分間の尺で全国放送され、県内はもちろん県外の知り合いからのメールが届きました。不動岡高校の名が全国に知れ渡ることはとても嬉しいです。応援部の皆さんの陰ながらの努力をしっかり見させてもらいました。16日(日)は地元の総合水害広域避難訓練が本校を会場に実施されましたので冒頭の挨拶に伺いました。朝方は雨が降り、非常に蒸し暑い中、本校をご利用いただきありがとうございました。北グランドでは、加須ジュニア陸上クラブの練習にちびっ子たちが大勢集まっていました。お子様をお連れのある保護者の方から「校長先生、毎日ブログを読んでいますよ」と声をかけられました。始めた頃は毎日書くつもりはありませんでしたが、プレッシャーですが細々と今後も続けていきたいと思います。ところで、コーチの藤間修一先生は私が高校生の時に体育で教わっていましたが、藤間先生がデモンストレーションしてくださった三段跳びに度肝を抜かれたことを今でも覚えています。今週は三者面談週間で午前4時間授業です。本校はこの間、完全下校が17時となり部活動にもけじめをつけ勉強時間を確保しています。

 2週間の教育実習生たちが14日(金)の放課後に研究授業の指導を仰ぎに校長室に来ました。私が共通して話したことは、新教育課程の3観点をどうやって授業に反映させるかということでした。従来の「知識・技能」の習得に重点を置く授業を否定するつもりはありませんが、穴埋め式のオリジナル授業プリントに沿って説明・解説していくスタイルはどうしても講義形式となり、生徒の言語活動があまりできません。進学校ではどうしても大学受験を意識して教材研究をしますので先生方が独自の教材を作って授業をしていますが、私は、極端なことを言えば、穴埋め式のプリントは調べ学習で良いと思っています。生徒に一定の時間を与えて、教科書・資料集・参考書などを使って自分で調べさせる。その間、大事だと思う個所にマーカーや下線を引き、プリントにメモをする、どうしてもわからないことは机間巡視する教員に質問したり、周囲で話し合ったりしても良いでしょう。今ではICT機器やiPadを有効に活用できるので、プロジェクターに解答を示しながらポイントを絞って説明し、残りの時間は「思考力・判断力・表現力」の育成を図る取り組みをしてもらいたいと思います。導入時に本時の「ねらい」「テーマ」を明示し、いかに「考えさせる」設問を用意するかが重要です。周りで意見交換しながら思考を深め、自分の言葉でまとめさせれば「表現力」の育成にもつながります。最後に振り返りの時間を設け、1時間の授業で学んだことを整理できれば記憶の定着にもつながります。

 実習生には授業はコース料理と同じで、最初に食前酒や前菜(導入「ねらい」「テーマ」)、メインデッシュ(展開)が「思考力・判断力・表現力」の育成、最後のデザートとコーヒー・紅茶が「振り返り」だと話しています。与えられた食材をどのように料理して最高の料理を提供するか、その料理人こそが「教師」であり「プロ」ですと。そして、授業はライブ、教員はパフォーマー、いかに観客を乗らせ、一体感を持たせるかと。私たち教員はどうしても学生時代に教わったように授業をしがちですが、依然として旧教育課程の教え方のままではいけません。現職の先生方はもちろんですが、これからの埼玉の教育界を背負っていく卒業生にも私の想いを託しています。先生方の授業を受けて、自分でもっと調べてみよう、学んでみようという「主体的に学習に取り組む態度」「学びに向かう力」の育成を図ることが理想の形です。そんな授業がこの不動岡高校でできればと思っています。

6月14日(金)進取の気風No.61 「校歌」

 晴れ最高気温33度。真夏日。校長室と応接室との間の壁に校歌の歌詞が記された黄金色に輝く立派な額が飾られています。第28代校長の門谷修二郎先生が寄贈してくださったものです。第139回入学式の式辞で1年生には紹介したとおり、作詞者は第12回卒國学院大学学長・名誉教授の河野省三氏です。

 本校は令和8年度に創立140周年記念事業を実施する予定となっています。その10年後には創立150周年の節目を迎えますので、記念事業自体は大掛かりなものにはならないと思われます。先日、学友会役員会の席で創立150周年には本校の校歌や応援歌などのCDが欲しいと申し上げたところ、古参の役員の方から創立100周年か110周年の時に既に作ってあるという情報がありました。同級生のU君が音源を持っているというので、早速送ってくれました。スマホで聴いたのですが、何となく昭和の雰囲気の編曲で懐かしさが込み上げてくる音源でした。近いうちにHPにアップロードできればと思っています。

 ちょうどこの役員会の前に、不動岡高校をこよなく愛するOBの新井陽吉氏が開校50年史を届けてくださいました。開校から旧制中学時代の不動岡の歴史が詰まっている書物です。その中に校歌のページがありましたが、当時は「不動岡中學校之歌」と称されていたようです。改めて歌詞を読んでみますと現在の歌詞とは異なっている部分があることに気がつきます。1番:「我が中學の名は高し」←「我が学び舎の名は高し」2番:「剛勇質素の健児團」←「明朗質素の若き友」3番:「忠と孝とにいそしみて」←「道と技とにいそしみて」の個所です。おそらく現在の歌詞は戦後に修正が加えられたものだと思いますが、このことについてはまた後ほど調べたいと思います。長い歴史の中で曲調は変わらず、代々脈々と歌い続けられた校歌です。私は不動岡高校校歌を歌うたびに、1番にある「千辛万苦築きたる」の歌詞がずっと気になっていました。「千辛万苦」とは「さまざまのつらいことや苦しいこと。多くの辛苦。(広辞苑)」です。「千辛万苦して成功を得る」のように使う四字熟語ですが、「千辛万苦」を「築く」とはどんな思いが込められた表現なのか、ずっと気になっていました。まだ、旧字体で書かれている「開校50年史」の全てを読んではいないので詳細はわかりませんが、地元有志が私立埼玉英和学校を設立し、その後不動岡中学校となるまでに様々な苦難を乗り越えて築き上げてきたというその思いがこの一文に込められているのだと思います。「我が学び舎の高し」と続く一番の歌詞は、今では県内で一番とも言える施設・設備が整えられた校舎で学ぶ不動岡生が現在、未来において、日本、そして世界で名を届かせる活躍をして欲しいという先人達の願いが込められている気がしています。