不動岡高校 校長日誌2024「進取の気風」
2月14日(土)進取の気風No.472「第15回土曜授業」
曇り後晴れ最高気温15度。本日は15回目の土曜授業で1限目に生徒総会がありました。その中で、令和8年度生徒会活動計画案・予算案・学校方針案が出され、最後に学校祭実行委員長から学校祭テーマが発表されました。来年度の学校祭テーマは「絢爛」です。創立140年という区切りにこれまでの歴史を「絢爛」に示したいという意図が伺えました。現2年生を中心に来年度、このテーマに沿って、学校祭を盛り上げてください。
午後2時からは中学2年生以下(小学生含む)の学校説明会を実施しました。ご来場の皆様、本日は不動岡高校まで足を運んでくださりありがとうございました。また、塾関係の方にも参加していただき誠にありがとうございました。
応募が始まってから300組を超え、600名以上の方の申し込みがありました。会場の不動岡ホールは椅子が1学年分しかないので抽選で参加人数を制限することになっていましたが、応募された方々全員に来校していただきたいという思いから、保護者は各教室でライブ配信、児童・生徒の皆さんはFホールで各説明と探究活動体験を行うことにしました。オープニングでは音楽部が歌を、全体会終了後は中庭で応援部が演舞を披露しました。また、生徒会生徒による校内見学ツアーを実施しました。
全体会での挨拶の一部を紹介します。「…本校は私立を含む他の高校と比べても引けを取らない、施設・設備、そして教育環境をもっている学校です。それだけでも志望する理由になるのでしょうが、『不動岡高校はどんなことをしてくれるのか』という視点ではなく、『自分はこんな力を伸ばしたい、こんなことをしたい、それをこの不動岡高校で叶えられるのか』という視点でこの後の説明を聞いていただければと思います。
人生には選択を迫られる場面がいくつかあります。高校選びもその1つだと思います。しかしながら、高校に合格することが最終目的ではありません。高校は長い人生においては通過点に過ぎません。通過点ではありますが、この高校3年間でこんな経験ができた、こんな力がついたと実感して卒業した時、人間として一回り大きくなると思います。もちろん進学校として大学実績は大切ではありますが、最も大切なことは『幸せに生きること』『人を幸せにできるような人生を送ること』だと私は思っています。…… 本校は勉強・部活動・学校行事とあらゆる場面で青春を謳歌し、一人一人が主役になれる学校です。
本日お集りの中学2年生、1年生、そして小学生の皆さんには考える時間があります。本日の学校説明会で不動岡高校をよりよく知ってもらうとともに、高校に入ったらこんな力を伸ばしたいという自分なりの「夢」を是非とも見つけてください。そして、その夢をこの不動岡高校で育みたい、実現したいと思ってくれたら大変嬉しく思います。」
探究活動体験については、後ほどHPの「不動岡ニュース」や公式SNSで報告したいと思います。
2月13日(金)進取の気風No.471「梅の花」
晴れ最高気温12度。昨日の5,6限は2年生の探究学年発表会がありました。先週は地域課題研究・異文化理解・理数探究の各分野別の発表会でしたが、今回は分野を横断して他分野の生徒たちも発表を聞くという形式でした。こうして発表の場を複数回設けることで更にお互いの理解が深めることができ、3月7日の生徒研究発表会本番に備えることができます。また、1年生はSDGs探究グランドファイナルをFホールで行いました。発表チームの1つは「SDGs未来甲子園」埼玉県大会ファイナリストに選ばれています。「探究の不動岡」が根付いています。
さて、私の休日の散歩コースの道端には梅の木が何本かあります。つい最近咲き始めたと思っていたら白い花がほぼ満開で、近くに行くと花の香りが漂っていました。先週の寒さも和らぎ、また一歩春に近づいた感じがします。
梅と言えば、「東風吹かば匂いおこせよ梅の花 あるじなしとて春を忘るな」拾遺和歌集に収められている菅原道真公の有名な句が思い出されます。ちなみに、“My ume tree, could you please send your scent on the east wind? Don’t forget to bloom in spring even if I’m not here.”がこの句の英訳の一つです。調べてみると違う英訳もあって興味深いです。
学問の神様とされる菅原道真公は右大臣として国家の発展に尽くしましたが、左大臣の藤原時平の政略により罪を着せられて大宰府に左遷されました。家族との別れも許されないまま京都を離れ、大宰府でも厳しい生活を強いられた菅原道真公の心情を想像するだけで辛い気持ちになります。また、大宰府には御神木の「飛梅」があります。菅原道真公を慕って都から一夜にして飛んできたと伝えられています。平安時代から現在にまで語り継がれる菅原道真公の句と「飛梅」の伝説を毎年この時期になると思い出します。
不動岡生の皆さんにとっては太宰府天満宮よりも湯島天神の方が身近に感じられるでしょう。合格祈願の御守りを買ったり、もらったりした人もいるのではないでしょうか。3年生から国公立大の公募推薦・総合型選抜や中堅私立大学の合格の情報が入ってきました。おめでとうございます。
また、国公立大学の個別試験前期日程は今月の25日から始まります。合格発表は3月6日以降、そして、後期日程は3月12日以降です。梅の花が咲く時期は大学受験日程と重なります。この梅の開花の見ごろに合わせるようにして一般受験の3年生たちは本番に臨みます。皆さんにとって嬉しい春が届くよう心から応援しています。
2月12日(木)進取の気風No.470「復命」
曇り後晴れ最高気温13度。2月10日(火)正午に令和8年度入学者選抜の出願期間が終了し、志願者は483名、倍率1.35倍(昨年度同時期1.36倍)でした。この後、18日・19日の志願先変更期間を経て志願者数が確定となります。本校が第一志望の中学3年生の皆さん、学力検査日までまだ2週間あります。不動岡生になることだけを考えて本番当日まで頑張ってください。
さて、3学期末考査一週間前となり、今日から原則として部活動禁止となります。期末考査後、入学者選抜試験が始まり、学力検査や採点などで生徒は臨時休業となります。しばらくの間は部活動がなくなります。
本校は部活動が盛んで、多くの部活動が土日に練習試合等に行っています。先生方が生徒引率で出張する際は、校長が事前に旅行命令することになっています。そして、出張後は引率した先生方が「復命」をします。「復命」とは「命(令)に答える」ということで、「命を受けて事を処理したものが、その経過や結末を上申すること」と辞書には書いてあります。
私は、この「復命」を1つ1つ読んでいます。時期によっては膨大な数になり事務処理をするのが大変ですが、先生方が試合の結果や生徒の様子などについて簡単にコメントしてくれているので楽しみにしています。この「復命」で部活動の様子を知ることができ、顧問の教員とコミュニケーションを取る情報源にもなるからです。
運動部の多くが他流試合として他校に出かけています。自分の高校時代を思い出してみると、あまり練習試合に行った記憶がありません。大会ではもちろん他校や上尾運動公園の体育館などに行きましたが、練習試合はほとんど本校でやっていました。当時、東部地区優勝、県大会ベスト4だったバスケ部は練習試合を申し込まれることが多く、私が高校2年生の時に完成した大体育館で試合をしていました。
試合の準備や片付けをするのは後輩たちでしたから、普段通りに学校に来て体育館で試合をし、部室で着替えてすぐに帰れるのでわざわざ他校に行かなくて済むのは楽でした。今でもよく覚えていますが、インターハイ予選が始まる前に顧問のS先生が南部地区のある高校に練習試合を組みました。県大会では組み合わせで強豪校と当たりベスト8にも入っていなかったチームでしたが、中学時代に県大会上位出身の選手が集まっていた高校でした。
今まで対戦したことはなく、本校でばかり練習試合をしていたためか相手チームの異様な雰囲気に飲まれて苦戦し、勝てなかったことを覚えています。その後、インターハイ県予選のベスト4決めで対戦しました。相手チームは練習試合で得た情報や選手の特長をよく調べており、巧みなゾーンディフェンスを敷いてきました。練習試合で負けた苦手意識もあり、なかなか思うようなプレーができず、それが引退試合となりました。
他校に練習試合に行くことは、場所によっては大変な時もありますが、普段慣れた自分の高校でやるよりも緊張感があり、他流試合を積むことで自分たちの弱点を知り、練習に生かすことができます。「復命」の中には練習試合の勝敗を記してくれる運動部顧問もいます。練習試合を通じて、来る本番の大会に向けて着実に力をつけていってほしいと思います。
2月10日(火)進取の気風No.469「切り取り」
晴れ後曇り最高気温11度。ここ数日間、現地時間の6日に開幕したミラノ・コルティナ2026オリンピック、日本海側の大雪、8日の衆議院選挙の投開票とテレビや新聞紙上は話題がつきませんでした。日本の行く末を左右する今回の衆議院選挙結果についてはメディアに任せるとして、国を背負って勝負するオリンピックの結果には目が離せません。
日本時間の8日、スノーボード男子ビッグエアで木村葵来選手(21歳)が金メダル、木俣椋真選手(23歳)が銀メダルを獲得しました。3回目の試技で逆転した木村選手はスノーボーダーには珍しい坊主頭です。器械体操の経験が空中でくるくる回る平衡感覚の良さにもつながっていたのでしょうか、あんな台でジャンプしてよく着地できるものだと感心してしまいました。
日本人の金銀獲得に関して、アメリカの「NEWYORK POST」というメディアで元プロスポーツボーダーのトッド・リチャーズが、この決勝について「あれは本当に退屈だった」「予選の方がもっと面白かったよ」という発言をオンエアマイクが拾ったという記事をネットで読みました。その記事はアメリカ代表が4位で表彰台を逃したニュースに関連して報道されたもののようで、まるで日本人による金銀獲得に不満を抱いているように感じられる内容でした。
私はこの解説者のことは知らないのでアメリカの選手が表彰台に登れなかったことへのやっかみかと思っていましたが、ある投稿コメントに目が留まりました。「この解説者は本物のスノーボーダーであり、…決して人種差別や自国の選手が表彰されないことに退屈と言ったのではない」「世界最高の大会で、スノーボードの進化を期待していいたのだろう。今回の優勝した滑りは現段階で想像できる滑りで、うまくまとめた奴が勝った結果。限界に挑戦した王者ではなかったことが、退屈という本音として声になったのだろう」というものです。どうやら予選の方が選手たちは着地に失敗していたけれどもオリンピックという大舞台で大技にチャレンジしていたようで、プロの目からすると決勝は確実性を求めて演技をうまくまとめていたように見えたのかも知れません。
この解説者は報道後、自身の「失言」に対してSNSでコメントしていました。この発言の真意と誤解を与えてしまったことへの謝罪です。怖い世の中だとつくづく思いました。今回の衆議院選挙中も候補者の発言の一部が切り取られて訴えたかったこととまるで違う内容がSNSで流れたり、今回の記事のように発言した人の真意を無視して意図して炎上させるような報道がなされたりしています。普段よく使うSNSでも言葉が独り歩きして誤解がさらに誤解を生み、さらに悪意を持って拡散されていじめにつながったり、怒りを誘発したりと日常でも言葉が「切り取られて」います。今回の件で、情報を発信する側だけではなく情報を受け取る側にも責任があると強く感じました。
2月9日(月)進取の気風No.468「墨縁」
晴れ最高気温7度。寒い土日でした。土曜日は2年生の共通テスト模試でした。担当の先生方ありがとうございました。土曜日の夜から雪が降り始め、昨日の昼過ぎに止みました。昨日の朝は窓から注ぐ光がいつもと違って眩しく、カーテンを開けると一面に雪が積もっていました。外に出て雪を触るとまるで今流行のかき氷のようにふわふわで手のひらで溶けていきました。車に積もった雪かきをしながら、雪と暮らす地域では「雪堀り」と言っているのを思い出しました。子どもの頃は雪が降ると無邪気にはしゃいでいましたが、今では大雪のため日常生活で苦労している人々のことの方が心配です。
私は土曜日に高校時代の恩師が書の作品展を開いていらっしゃるので顔を出してきました。赤荻竹一先生は数学の教師で、お生まれは北川辺、私と14歳離れています。当時の学年の先生方の中では一番お若い先生だったと思います。小学校の時に書道を教わったことをきっかけにずっと書道を続けていらっしゃったとのことです。
ご退職後は、書道を教え始め、今回の個展の受付などのお手伝いも年配のお弟子さんたちがされていました。受付で筆ペンを渡されましたが、訪れる方々のお名前を見ると皆達筆なので気後れしてしまいました。赤荻先生の旧友やお知り合いの方がたくさん来ていらっしゃいましたが、個別に書の解説をしてくださいました。
その一つが、「墨縁」という書でした。「書道を通じた人とのつながり。墨を通じて人と人、人と文化をつなぐ縁を大切にしたい」という思いで書かれた書だそうです。赤荻先生は教員として生徒とのつながりを持ちながら、書を通じても多くの出会いとその縁を大切にされてきました。初日の6日(金)は来場者が460人超えだったということですのでどれほどの縁をお持ちなのでしょう。不動岡高校の1学年9クラスで358名ですから何学年分なのでしょうか。
赤荻先生に、10年後不動岡高校は創立150周年を迎えますので是非寄贈してくださいとお話ししたところ、そんなに長生きできないかもしれないよと笑っておっしゃっていましたが、小さい頃から指示してこられた師匠の方々にはまだ及ばないという謙虚なお気持ちから明言は避けられたのかも知れません。
NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に登場した歌舞伎界の至宝にして人間国宝ある片岡仁左衛門氏(81歳)の言葉を思い出しました。番組の最後に問いかけられる「プロフェッショナルとは?」に対する答えです。「わからない」と前置きしたうえで、「やはりどこまでもそのことに対して追求されているんじゃないかな。それがプロ根性、プロ魂っていうんじゃないのかな。」81歳になっても「死ぬまでが修行。お芝居っていうのは気をつけないと“手に入ってしまう”。慣れっこになるの一番怖い。」「さらに自分を磨いていく。それで満足しないでね。」と笑ってインタビューに答える片岡氏の言葉に赤荻先生の書に対する姿勢が重なりました。
2月6日(金)進取の気風No.467「問い続けること」
晴れ最高気温16度。2月4日付け日本経済新聞朝刊の29面「大学のいま」は「池上彰のSTEAM教育改革」でした。その記事の中で、関西大学初等部が新見南吉の「ごんぎつね」をSTEAM(科学、技術、工学、芸術、数学の頭文字)教育の教材として活用する授業の一部を伝えていました。
「ごんぎつね」は小学校の教科書の定番で私もよく覚えています。体の弱った母のために息子の兵十はウナギを捕まえて食べさせようとするのですが、キツネのごんがいたずらして逃がしてしまいます。母の死を知ったごんは毎日兵十に気づかれないように、いわしや栗、マツタケなどを家の前に運ぶのですが、ある日、ごんがまたいたずらしに来たのだと思い、兵十が火縄銃で撃てしまうという物語です。
たしか、最後の方で兵十が毎日食べ物が置かれるのは神様のおかげだと言っているのを聞いたごんが、やっているのは自分なのにと内心嘆くシーンがあります。その後、火縄銃で撃ったごんの手から栗が転げ落ちるのを見て初めて兵十は真実を知ることになります。「ごん、おまえだったのか、いつも、くりをくれたのは」という兵十の台詞の後に、ごんはぐったりしながらうなずきます。あの時したいたずらの後悔を兵十がわかってくれてうれしいという気持ちだったのでしょうか。
STEAM教育の授業では児童たちが疑問点を自由に挙げています。「イワシは新鮮だったの?」「兵十はなぜ火縄銃を持っていたの?」など、ユニークな視点です。そんなことを言ったらこの物語の良さがわからないのではと思ってしまうのですが、「実際には子どもたちが文章を深く読んだり、国語という科目に関心を持ったりする効果があった」そうです。池上氏は「様々な視点で物事を捉え、考えることの意味を教えてくれるエピソードです」と評しています。そして「答えをすぐにAIに求めるのではなく、自らの疑問への答えを探究する姿勢を大事にして欲しい」と締めくくっていました。
この記事には「初心の『なぜ』探究の源」「好奇心育む教育活動も」という見出しがついていました。教員の発問に教員が期待する答えを求めるのではなく、様々な視点で、様々な発想で、様々な感性で自分の考えを述べてよい教育…。小さい頃は「なんで?」といろんなことに疑問を持って何度も親に尋ねていたのに、大きくなるにつれ疑問を持たなくなり、受け入れることが当たり前のようになっていきます。この記事に出てくる京都大学の宮野公樹准教授は「人生には、答えのある問いと答えのない問いがある。大事なことには答えがないことがある。」と述べています。だから私たちは問い続けるしかないのかも知れません。
2月5日(木)進取の気風No.466「底なし沼」
晴れ最高気温14度。今日は午後から校内の探究活動発表会があります。最終的には3月7日(土)の生徒研究発表会で関係者にも公開して行うのですが、本日は評価を兼ねての発表となります。また、放課後にはDXハイスクールAR体験を実施します。浦和工業高校の校長時代、情報技術科の課題研究でVRの体験をしたことがあります。当時、渋沢栄一が話題になったこともあり、生徒たちは渋沢氏の生家である深谷の中の家を模した仮想空間を作成しました。周りで見ているとVRのゴーグルをつけた人間がただうろうろと歩き回っているようにしか見えないのですが、当の本人は玄関から家の中に入り、実際に部屋を回っているのです。とても不思議な体験でした。
とうとうスペインも16歳未満の子どもによるSNSへのアクセスを禁止し、プラットフォームに年齢確認システムの導入を義務付けることになりそうです。3日、サンチェス首相がドバイで開かれた世界政府サミットで演説したことがニュースになりました。既にオーストラリアも昨年12月から16歳未満の子どもによるSNSアクセスを禁止していますし、イギリスやフランス、デンマークでも同様の規制を検討しているようです。
サンチェス首相は、依存、虐待、性暴力等というデジタルの無法地帯から子どもたちを守るためにスペイン国内の法改正も進めるとのことです。既にSNSを規制したオーストラリアの調査では約4割の子どもが暴力や差別動画を視聴しており、アルゴリズムが危険動画へ誘導する「底なし沼」の実態を重く見ていました。
SNSは確かに便利です。本校を含め多くの学校がSNSを利用して広報活動をしています。しかし、そのアプリで視聴していると次から次へと動画が流れてきて、気がつくと長時間の利用になってしまい睡眠時間不足につながっているという事態に陥りがちです。
また、不適切な動画の拡散やデマ、フェイクなどでいじめや自殺、暴力など誘発している事態は日本でも深刻な問題です。この衆議院選挙の選挙活動においてもSNSは大きな役割を果たしていますが、生成AIを使ったフェイク動画がもっともらしく流れていることもニュース等で明らかになっています。
仮想空間が現実のように創り出される今の時代に必要なのは、真偽を見極める判断力です。この判断力は授業等で知識を学び、体験で身をもって知り、自分なりの考えを持って行動できるようにならないとなかなか身につかないものです。疑うことを知らない未成年たちがSNSを通じて信じ込んでしまう世界は現実から離れたものかも知れません。生成AIなしでは暮らしていけない時代になりつつある今、自分をコントロールする自律と真偽を見極める判断力を持つことは極めて重要です。この時代を生きる不動岡生の皆さんにもこの「底なし沼」にはまらないようにするためにはどうしたらよいかを真剣に考えてもらいたいと思います。
2月4日(水)進取の気風No.465「21世紀枠」
晴れ最高気温11度。インフルエンザの罹患者が急増しています。これ以上の蔓延を防ぐためにも部活動の顧問に部の状況を見て活動の自粛を検討するようお願いしました。学級閉鎖になると、そのクラスの生徒は罹患していなくても大会やコンクールへの参加ができなくなります。より一層、換気とうがい・手洗いを行ってください。学級閉鎖のクラスの授業は担当の先生方が極力オンラインで行ってくれていますが、罹患者は快復のためゆっくりと休んでください。
1月30日に第98回選抜高校野球大会の出場校を決める選考委員会があり、本県では花咲徳栄高校が選出されました。おめでとうございます。同じ加須市にある高校として応援します。一方で、残念ながら21世紀枠候補に選ばれていた県立期待の上尾高校は選出されませんでした。この21世紀枠で選出されたのは長崎西高校と高知農業高校でした。
長崎西高校と言えば、SSH指定校の進学校で、東京大学を始め、京都大学や九州大学などの難関国立大学に多数合格者を出しています。21世紀枠は、野球だけではなく学校の取組や地域への貢献なども評価されますが、長崎西高校野球部は昨年秋の県予選で準優勝、九州大会で8強入りするほどの強豪校です。
先日、ネットで見ましたが、長崎西高校は平日7時間目まであるため野球の練習は1時間半程度ですが、進学校としてまさに「文武両道」を貫いています。長崎西高校野球部のテーマは「時律」で短い練習時間を補うためにいかに時間の使い方を考えるかを常に意識して練習しているそうです。これは進学校なら野球部だけに限った考え方ではなく全ての部活動にも当てはまります。
また、「科学的な野球」を自負しているようで、選手たちは「科学探究」の授業で「ロージンバッグ使用による速球とボールの回転の推移」や「ストレートの回転数とリリース角度の関係」などを研究し、実際に練習や試合に生かしていると記事にありました。
さらに、生成AIを使ったアプリもマネージャーたちが自作し、各選手の苦手な球種やコースを分析し、効率よく練習できるようにしているというから驚きです。具体的には打撃練習でバットが当たった位置や芯で打てたかどうかを集計するアプリだそうです。加えて、マネージャーたちは各選手の肩や肘の状態、体重などのコンディション管理も行っているとのことですからトレーナーの仕事もこなしています。
記事を読んでいたら、何だか希望が湧いてきました。埼玉県は私立の野球強豪校がひしめく激戦区ですが、不動岡高校もいつかこの21世紀枠で甲子園を狙えるかも知れないのではないかと。この長崎西高校が良いモデルです。不動岡高校野球部が甲子園の舞台に立つのは決して夢物語ではありません。私はそう信じています。
2月3日(火)進取の気風No.464「不易」
晴れ最高気温10度。本校から歩いて10分ほどのところに関東三大不動の一つに数えられている不動ヶ岡不動尊總願寺があります。節分の日に行われる「節分会(せつぶんえ)」の鬼追い豆まき式は約400年変わらぬ伝統だそうです。朝7時に開催を知らせる花火が鳴っていました。12時に昼の部、16時に夕の部、そして20時30分に夜の部があります。例年、本校吹奏楽部が演奏し、場を盛り上げます。吹奏楽部の出場は14時30分からです。お時間がありましたらどうぞ總願寺にお越しください。
先週の金曜日に第2回学校評議員会と学校評価懇話会がありました。学校評議員会では第1回に引き続き、「10年後の不動岡を見据え、今取り組むべきこととは何か」という提言で委員の方々からご意見をいただきました。今回は、不動岡高校のここは変わらずにいてもらいたいことは何かというところから始めました。少子化に加え、高校授業料無償化により私立志向が高まる中、私立高校の真似をするのではなく不動岡高校らしさを再認識することからスタートしたかったからです。
保護者学校評価アンケートの集計結果も資料として配布しました。「今後の不動岡高校に期待していることは何ですか」という質問では、上位3つが「授業内容の充実」「進路指導の充実」「補習の充実」です。進学校ですので例年同じような結果ですが、私が気になるのは「進学補習の充実」が大きな割合を占めているところです。毎週土曜日授業があり、放課後は進学補習をしている進学校の私立があることは耳に入っていますし、実際に、私立並みに教育カリキュラムを充実させてほしいという保護者の声もあります。
私は本校の夏期講習は今まで経験した高校の中でもかなり充実していると思います。夏季休業開始後1週間、1・2年生は午前中に英数国の集中補習で、この時間帯は部活動がありません。3年生は4期に渡る補習計画のもと1人平均8講座に参加しています。土曜日授業の午後や冬期講習も3年生の教科担当が随時行っていますし、この家庭研修期間も受験生の個別指導を行っています。
私は普段の授業が一番大事で、その授業と定期考査が受験に直結していることが前提であるべきだと思っています。その前提の元、進学補習は演習を中心に実践力をつける、つまり、授業と進学補習は別物ではなく、普段の授業の延長にあるのが受験勉強であるべきだということです。昨年度から「授業の不動岡」と自他ともに認める学校にしましょうと先生方に伝えているのはそのためです。
東京の私立にも詳しい委員から、受験に特化している学校や進学校なのに多くの生徒が予備校に通っている学校も多いという話がありました。一方で、学校行事や部活動、探究活動の様々な分野で頑張っている進学校もあり、そういう学校の生徒の方が大学に行ってから活躍すると聞きました。私も同感です。進学校でも「学校が楽しい」「充実している」と感じている生徒は、確かに忙しいですが、確実に伸びていくと思います。不動岡高校の変わらぬところ、「不易流行」の「不易」に当たるところは守っていきたいと思っています。
2月2日(月)進取の気風No.463「男女共同参画」
晴れ後曇り最高気温11度。とうとう2月に入りました。如月です。衣更着とも書くそうで、まだ寒さが残っていて、衣を更に着る(重ね着する)ことが由来のようです。暖房設備のなかった昔は、日本の冬はさぞかし寒かったろうと思います。それに比べて、今はエアコンのタイマーで起きる前に居間は暖かくなっています。布団から出るのが辛いなんて言ってられませんね。それに先日、朝散歩していたら梅が開花していました。着実に春は近づいています。
昨日の午後は、市民プラザかぞで行われた「みんなでフォーラムinかぞ~男女共同参画社会をめざして~」に参加しました。第1部のアトラクションで本校の筝曲部が出演するからです。事前に筝曲部員が校長室に来て、入場整理券を手渡してくれました。2曲披露するということでした。「もしアンコールがきたらどうする?」と尋ねたら、「それは困ります。まだレパートリーが少ないもので」と答えていました。ですから、アンコールの拍手はやめておきました。筝曲部の演奏は大変好評でスタッフはもちろん参加された方々から沢山のお褒めの言葉をいただきました。日頃からご指導くださっている師範(OG)の方にも感謝申し上げます。
第2部は講演会で、国立女性教育会館理事長の萩原なつ子氏が講師でした。題目は「みんなで考えよう 誰もが主役のウェルビーイングなまちづくり」でした。ジェンダー平等の理念に基づく男女共同参画社会やワーク・ライフ・バランスの推進について、私たちの身近なところからできることを考えてみようというテーマでした。
萩原氏のトークは実に軽妙で、ユーモアを交えながら自治体での改革を推進してこられた経験を通じて様々な示唆を与えてくださいました。ウェルビーイングなまちとは誰もが居場所と出番がある街であり、「戦略的なお節介」「ゆるやかなネットワーキング」などのキーワードでわかりやすく説明してくださいました。
「共同」と似たような言葉に「協同」があります。辞書で調べると「共同」は「一緒に事を行う、同時に関わる」こと、「協同」は「力・心を合わせて事に当たる」ということです。同義語として使われることもありますが、「共同」は「平等」を基盤にし、「協同」は「協力」を基盤にしている言葉だと思います。
不動岡高校は共学校なので「共同」「協同」のどちらも意識していると思っていますが、進路決定においてはまだジェンダーバイアスがかかっているかも知れませんし、萩原氏の言う「男女関係なく誰もが居場所と活躍の場所がある」学校なのかという問いに堂々とイエスと言えないかも知れません。男女共同参画は女性の意見を聞き、それを施策化することのように感じますが、その過程において男性も参画して既成概念を払拭し、ともに事に当たることだと感じました。講演後、萩原氏とお話しする機会があり、筝曲部のおかげで新たな縁ができました。