不動岡高校 校長日誌2024「進取の気風」
11月10日(月)進取の気風No.411「面接練習」
晴れ後曇り最高気温20度。霧の濃い朝でした。市街地は大丈夫でしょうが田んぼや畑の近くの道を自転車で登校する生徒は気をつけてください。今週は11日(火)が開校記念日、14日(金)が県民の日は授業がありません。部活動がある生徒もいるでしょうが、たまには息抜きをしても良いと思います。(というわけで、11日と14日は校長日誌をお休みします)
10月に入ってから、大学入試総合型選抜試験や指定校型選抜試験で面接試験のある3年生から度々面接練習を頼まれます。私が頼まれる時は仕上げの段階、要するに本番を見越しての「肝試し」のような面接練習ですから、私からはあまり細かいアドバイスはしません。複数の教員から指導を受けてきたのですから気持ちよく本番に送り出してあげたいと思っています。
それでも気になることが1つあります。例えば、定番の志望理由を答える時に1つ1つの文が長いことです。これまでに面接官として評価する立場を経験したことからすれば、答えが長いとずっと集中して聞いていなければならず、メモがうまく取れません。また、面接官の手元には既に提出した志望理由書のコピーがありますので、全てを答えなくても面接官はある程度わかっています。まるで暗記テストのようになってしまっては勿体ないと思います。
今年は、面接をお願いに来た時に、面接のポイントを示した一枚のプリントを渡しています。面接官が聞きやすい、メモをしやすい言い方を心掛けること、一気に全て答えるのではなく、簡潔にポイントを押さえて話すこと、短い文を接続詞でつなげていく話し方が聞き手にとってはわかりやすい等のアドバイスを載せています。また、用意した答えを言い切るよりも、面接官から追加質問をされるくらいの方がやり取りができて良いということも書いてあります。
加えて、英語の論理表現の授業でも習っていると思いますが、答え方の組み立ては「OREO」が基本です。①自分の意見や考え(Opinion)②理由(Reason)③例やエピソード、エビデンス(Example)④まとめとしてもう一度自分の意見(Opinion)の流れです。例えば、薬剤師になりたい生徒の志望理由では、1つは「なぜ薬剤師になりたいか」、もう1つは「薬学部を持つ大学は他にもある中でなぜこの大学なのか」を面接官が知りたいことを明確かつ端的に伝える必要があります。また、志望理由書に書かれたことを深掘りする質問もよく出されます。自分で書いたのに突っ込まれたら答えられないと印象が悪くなりますので、よく調べておく必要もあります。
面接は緊張します。うまく答えられないこともあります。でも面接官は受験生の心情をちゃんと理解して対応してくれます。想定外の質問が来ても、自分の考えを自分の言葉で伝え、真の姿を表現できれば、是非この生徒をうちの大学に入れたいと思うでしょう。リラックスして面接試験を楽しんできてください。
11月8日(土)進取の気風No.410「第10回土曜日授業」
晴れ後曇り最高気温15度。本日は36回目となるポプラカップ英語スピーチコンテストがあります。これは外国語科が設立された頃に始められたスピーチコンテストです。1年次の英語「論理・表現」の授業の一環として1年生は全員英語によるスピーチをします。各クラスで1人を選抜し、その代表者が優勝を目指し不動岡ホールで発表します。毎回、2年生も希望者が参加してくれます。司会も生徒でもちろん全て英語で進行します。昔は青年の主張や弁論大会といったものがありましたが、それを英語でやるのですから大したものです。このスピーチコンテストはアウトプット活動を重視する本校英語教育の目玉の一つです。今年は誰が優勝するでしょうか。
午後からは第4回学校説明会を実施します。午前中は授業公開なので午前中からいらっしゃる方もいると思います。時間があれば不動岡ホールにお立ち寄りください。先日、校長面談をした生徒は不動岡高校受験を決めたのがかなり遅く、最後の学校説明会に参加して初めて不動岡高校に来たそうです。それまでは複数校学校を回り、それでも決めかねていたようですが、不動岡高校の教育活動の説明や施設・設備を知り、気持ちが固まったそうです。特に、授業中の生徒や部活動の様子などの学校の雰囲気が今まで行った学校と違うと言っていました。そして、不動岡を選んで良かった、自分の決断は正解だったと言ってくれました。
もし、本日の学校説明会に参加される方で、まだ第一志望がお決まりでない受験生がいらっしゃいましたら、不動岡高校を校長として強くお勧めします。10月に進路希望調査が公表され、まだ志望校決定に迷いがあるのなら、是非不動岡高校に決めていただきたいと思います。本日の学校説明会でお会いできますことを心待ちにしております。
11月7日(金)進取の気風No.409「理系不足」
曇り後晴れ最高気温20度。一昨日に行われた邦楽祭(全国大会予選)で筝曲部が金賞を受賞しました。総合順位では5位だったため全国大会出場は叶いませんでしたが、部員数が少ない中で頑張ってくれました。新聞部も県3位となりました。新聞部は高文連の全国大会に毎年出場している実績がある部活です。部員たちにとって3位は不本意なのかも知れませんが、立派な成績です。新聞部も部員数は少ないですが、本当によく頑張っています。
昨日の放課後は演劇部が「星に願いを」という劇を大体育館で公演しました。サン・テグジュベリの「星の王子様」に着想を得た脚本のようでしたが、「自分を変えたい、変わりたい。」「言葉で言わなければ伝わらない。」などの台詞は思春期にある若者の悩みをうまく表現していました。ふと自分の頃の演劇部には誰がいたのかと気になりました。あの頃は他の部活動のことなどあまり気にしていなかったので公演があったかどうかも覚えていません。今から思うと勿体ないことをしたと後悔しています。
本日の読売新聞朝刊25面に、文部科学省が理系高校生を現在の3割から4割に引き上げるために基金を新設することを検討しているという記事がありました。工業高校や商業高校の割合も現在の20%から26%に引き上げる予定だそうです。理系離れの要因の一つとして、保護者らに「理数科目は早めに捨てて偏差値を上げ、大都市の有名大に行けば安泰」などの意識があるとみているとあります。経済産業省は2040年、今から15年後には社会のデジタル化が進み、理数に強い専門人材が330万人不足すると予測しています。一方で、文系が中心の事務や営業職は320万人余剰になると見込まれるそうです。
文理融合・教科横断の時代に向けて柔軟な教育課程を作ってきた本校でも、文系寄りの科目選択をする生徒の割合の方が大きいですが、数学は3クラスを4展開して少人数にし、更に習熟度別に授業をしています。文系寄りであっても数学は3年次まで学習する教育課程になっています。それでも、受験科目に数学がいらないとなるとモチベーションが上がらなくなるのが生徒にとっては正直なところでしょう。
かつては半導体分野を中心として世界のトップだった日本は資源が少ないので、科学技術や工業などの分野で卓越した人材が必要となります。アジアでも中国を筆頭に、韓国、台湾、インドに日本は押されています。国が理系分野の必要性から資金を調達するのはわかりますが、それだけで理系は予測通りに増えるでしょうか。
工業高校に勤めていたのでよくわかりますが、かつては優秀な人材が集まった工業高校は偏差値教育の中で普通科の下のように認識されているのが現状です。県立の工業高校は私立では賄えない施設や設備があります。理論と技術を習得し、専門資格を取得すれば大学出でも入れないような企業に就職することができ、生涯賃金では四大卒よりも上になります。読売新聞の記事では「保護者ら」という表記になっていますが、この「ら」の中に中学・高校・塾関係者の教員が含まれている気がしてなりません。国で方向性を決めても現場に浸透しなければ「絵に描いた餅」になってしまうのではないでしょうか。未来を育てるわたしたち教員の役割は大きいと感じます。
11月6日(木)進取の気風No.408「先のこと」
曇り後晴れ最高気温20度。2年生は先週の金曜日に進路ガイダンス、金曜日の放課後には難関大学説明会があり、大学受験に向けて意識を変えています。昔と違って、今は現役志向が当たり前なので大学受験は3年生になってからとのんびり構えてはいられません。全国の中高一貫の学校の生徒たちとも張り合うわけですから必死です。ただ余裕がない状況になると焦りが先行して不安になります。
難関大学説明会で講師を務めてくださった大手予備校の方に終了後、列をなして質問に並んでいました。その質問の多くが今の自分が不安で仕方ないという内容だったと後で聞きました。誰もが通る道ですが、不安であっても確実に一歩ずつ進むしかありません。先のことを案じても仕方ありません。不安を取り除くには「自分はここまでよく頑張った」と言える努力をするしかありません。まだまだこれからですから焦る必要はないですよ。皆さんには支えてくれる仲間と先生方がいます。安心してください。
そして、先週の金曜日に3年生は卒業アルバムのクラス全体写真を撮りました。10月最後の日に撮った写真が卒業アルバムに収められ、それを見ることになるのは卒業する時です。卒業式前日に配布される生徒会誌「湧雲」の原稿も締め切りとなります。大学受験はこれからで、卒業はまだ先のことなのに不思議な感じがします。
私は管理職になってから「先のこと」を考えるようになりました。まだ若い頃は「先のことを考えていてもしょうがない。今を充実させることが大切だ」という感じでしたが、不安な未来であっても先のことを考えて「備える」ことが重要だと考えるようになりました。先のことを考えていれば、予想通りにいかなくても冷静に対応することができます。行き当たりばったりで行動するとそのツケが未来に回ります。自分が望む未来を描きつつ、想定外の展開にも準備しておく。焦りや不安は付きまといますが、「決断をするのは自分だ」という意識を持っていれば乗り越えられるはずです。
不動岡生の皆さんの「先のこと」は主に大学受験のことでしょう。でも、もう少し余裕を持って「先のこと」の先を思い描いてみてください。高校卒業後も続く人生は「先のこと」の先にあります。不動岡生には、自分が望む未来を思い切り描いて欲しいと思います。
11月5日(水)進取の気風No.407「交流の場」
晴れ後曇り最高気温17度。広報かぞ11月号の20ページに9月21日に行われた「社会を明るくする運動」で演奏した吹奏楽部、21ページに、9月24日に加須市長を表敬訪問したキンガロイ高校、9月28日に行われた加須市物産観光協会発足式での応援部の記事がそれぞれ写真とともに掲載されています。改めて加須市と本校との強いつながりを感じます。
本日は台湾から国立政治大学附属高級中学の生徒35名と校長を含む3名の先生方が来校します。2限目にFホールで歓迎会を催し、その後、中国語、英語、体育の授業に参加してもらいます。国立政治大学附属高級中学は台湾で有数の進学校です。今回は埼玉県観光課からの依頼で訪問を受け入れることになりましたが、本校の生徒にとっても貴重な体験になると思います。特に2年生は12月に台湾修学旅行があるので、友達になれたら現地で再開できるかも知れませんね。
折しも、昨日、修学旅行実行委員の生徒から修学旅行のしおりの挨拶文を依頼されました。私は、この台湾修学旅行で、不動岡生一人ひとりが「異文化」を体験し、その異文化体験から「学び」へと確実に繋げて欲しい、充実した学びを得るためには、一人ひとりがしっかりと事前学習を欲しいと挨拶文に書きました。おそらく台湾の高校生たちも日本の歴史や文化について、世界情勢について事前に学習してきたはずです。交流は学び合いの場です。残念ながら、私は歓迎式の後出張となりますので交流の様子を見ることができませんが、積極的に話しかけて欲しいと思います。
昨日の放課後、PTA華道サークルの方々が生け花を校長室に飾ってくださいました。今回はニシキギ、スナップ(金魚草)、小菊の作品でした。秋をイメージした素敵な作品をありがとうございました。
11月4日(火)進取の気風No.406「霜月」
晴れ最高気温16度。11月に入りました。霜月です。昨日は関東地方に木枯らし1号が吹きました。西高東低の冬の気圧配置になり空気も乾燥します。旧暦の11月はおよそ現在の12月に当たり、霜が降りてくる時期だったそうです。霜は気温の低下により空気中の水蒸気が水にならずに昇華して氷の結晶になって付着する現象です。しかし、昔の人は霜や露は天から降りてくるものと考えていたので、霜が「降りる」とか「降る」という表現を使っています。こちらの方が風情がありますね。小学生の頃は、通学路の道端に霜柱ができているとザクザクと踏んで靴を泥だらけにしたものですが、今では道路も舗装され霜柱を発見することが難しくなりました。
2年生との面談で中学時代に不動岡高校を選んだ理由を聞いた後「不動岡高校に来て1年半が過ぎましたが、高校生活はどうですか?」と質問すると多くの生徒が「楽しい」と答えてくれます。進学校であっても「楽しい」「青春がある」という感想が聞けるのは嬉しいことです。この前、同じ質問をしたら「3連休がないですね」と答えた生徒がいました。確かにこの3連休中も11月1日は全学年全校模試でしたし、残り2日も部活動等で学校に来た生徒は多かったでしょう。同じように先生方も3連休がないのですが、確かに休める時はしっかりと休むことは必要です。
私は1日は午前中は出張で、昼過ぎから浦和工業高校の文化祭に行きました。3年生しかいない最後の文化祭でした。来年度から大宮科学技術高校として新校となり、浦和工業高校を閉じることになったため歴代校長が招待されました。機械科・電気科・設備システム科・情報技術科を回り、ともに働いた先生方に挨拶しました。最後までご指導くださったことに心から感謝します。当時のPTA役員の方々とも会うことができました。展示の受付をしてくれていた浦工生に「最後の浦工を選んでくれてありがとう。」とお礼を言いました。知らないオジサンからいきなりお礼を言われてキョトンとしていましたが、明るく「ありがとうございます。」と返してくれた生徒たちは逞しく見えました。
2日は私が卒業した学年の同窓会でした。恩師を含め約150名が参加してくれました。実はこの土日は東部地区の学校で周年行事があり招待を受けていました。教頭に代理をお願いしましたが、参加できず大変申し訳ありませんでした。還暦を迎え、私が現役校長でいられるタイミングでやりましょうと昨年から構想し、今年度に入ってから実行委員会を立ち上げ、月に1回集まり準備を進めてきました。私の我儘でFホールを使わせてもらい第1部を実施し、顧問に頼んで応援部に校歌を歌ってもらいました。実行委員会で集まる時は、私は校長ではなく96回生の一人、それぞれ仕事の合間に係分担の役割を果たしてくれました。懐かしいスライドショー、記念品、参加者名簿の取りまとめや冊子の作成、元生徒会長のミニコンサートなど自分の得意分野で活躍してくれました。89歳になる恩師も今まで沢山の同窓会に呼ばれたが今回が一番楽しかったと言ってくださいました。
久しぶりに級友と再会し、初めは「誰だっけ?」という感じでしたが、不思議なことに「声」で思い出すのです。10クラス450人の学年でしたので全く知らない人もいますが、それぞれが不動岡高校での3年間の思い出を持っています。42年経って初めて知ったこともあり、途切れ途切れになっていた記憶がつながっていく感覚がありました。昨日は仲間たちからSNSで沢山の写真が送られてきました。長い時間をかけて準備してきた同窓会も終わるとこれも思い出の一つになります。現在進行形で高校生活を送っている不動岡生もいつかは懐かしく思い出を語る時が来るでしょう。皆さんは「今」沢山の思い出を作っている最中です。辛い思いをしている人もいるかも知れませんが、いつか仲間と笑って話せる時が必ず来ます。
さて、今年度も残り5ヶ月です。暑い秋からやがて寒い秋に変わり、そしてコートが必要な冬になります。大きな学校行事は2年生の台湾修学旅行(12月)だけですが、これからも不動岡生一人一人がさまざまなドラマを作っていくことになります。まずは11月、霜月を充実したものにしていきましょう。(P.S.今日の校長日誌も長くなってすみません)
10月31日(金)進取の気風No.405「パスタの茹で方」
曇り後雨最高気温18度。昨日の午後は、2年生が地域課題研究選択者の中間発表会、Fホールにて異文化理解選択者にJICA職員による講演会がありました。2年生の探究活動もいよいよ最終段階になります。
さて、2年生の化学の授業での話です。いきなり「『アルデンテ』って言葉を聞いたことがありますか?」という質問で授業が始まりました。「燃えるように。熱烈に」を表す音楽用語の方ではありません。「アルデンテ」とはパスタの中心部に一本の芯が残り、歯ごたえのある状態を言います。外側はもっちりしてコシがある麺の状態です。続いて「パスタを茹でる時、どうして塩を加えるのですか?」という質問がありました。どうやら自分でパスタを茹でたことのない生徒たちはピンとこなかったようです。自分で料理する機会もあまりないでしょうし、レンチンで簡単に美味しいパスタを味わえる時代ですから無理もないと思います。
パスタを茹でる際に塩を入れる理由をネットで調べてみました。理由1:麺のコシを出すため。お湯の塩分濃度が上がることで麺は水分を吸収しにくくなり、その結果、コシのある食感に仕上がる。パスタの弾力を生み出すグルテンがお湯に流れ出にくくなる。理由2:下味をつけるため。熱湯で塩を加えるとパスタ全体に均等に味が染みこむ。なるほど…。しかし、「お湯の塩分濃度が上がることで麺は水分を吸収しにくくなる」とはどういうことなのでしょうか?
化学の先生は、「蒸気圧降下」について話し始めました。「水は100℃で沸騰すると蒸発と凝縮が起こり、このバランスが取れた状態を気液平衡と言う。水に塩や砂糖などの不揮発性の溶質を加えると蒸気圧が下がる。これを「蒸気圧降下」と言う…。」と図で示しながら生徒との対話形式で授業を進めました。要するに塩を加えることで100℃以上に沸点が上昇するということです。そこにパスタを入れて茹でると、外側はもっちりとなりながらも中には少し芯が残るアルデンテになるということなのでしょう。
その後、「㏖沸点上昇は溶媒によって変わる、濃度・蒸気圧降下・沸点上昇は比例する、溶液の㏖濃度ではなく質量㏖濃度でないと正確な値が出ない…」と図式化しながら説明が加わり、最後に文章問題の演習をしました。生徒たちは黙々と計算していましたが、私は問題文中にNaClが出てきた辺りで怪しくなってきました。
料理は化学と密接な関係があります。私もたまにペペロンチーノを作りますが、オリーブ油で炒めた食材と茹で上がったパスタを炒める際に、塩の入った茹で汁を加えることで「乳化」現象が起こり、クリーミーな味わいになることくらいは知っています。しかし、パスタを極めるのは本当に難しいです。茹で時間や塩加減などで微妙に味が変わり、何度やっても満足したペペロンチーノが作れません。家族に食べさせても「美味しい」「まあ美味しい」「大丈夫」という感想しか言わないので参考になりません。そもそも、「どう?美味しい?」と聞いて「大丈夫」と答えるというのはどうなのでしょうか。いちいちお湯の温度を測ったりはしませんが、今回の授業を思い出しながら再チャレンジしたいと思います。
10月30日(木)進取の気風No.404「高校入試と大学入試」
晴れ後曇り最高気温18度。昨日は、5限から7限の3時間を使って2年生はFホールにて進路ガイダンスを行いました。ベネッセ担当者による講話から始まり、本校進路指導主事の話、各教科からの受験・学習アドバイスがありました。「139回生 受験生になる 2025」というタイトルの冊子には進路資料とともに11月1日の進研模試から3年生になる前の春休み期間までの間に取り組むべきことが教科ごとに詳しくまとめられています。本校の「受験記」「大学入試問題分析」とともに大変有益な冊子です。2年生も後半に突入し、いよいよギアを1つ上げて大学受験体制に入ります。2年生の皆さん、頑張っていきましょう。
さて、10月28日付けの新聞紙上に「令和8年3月中学校等卒業予定者の進路希望状況調査(令和7年10月1日現在)」の結果が公表されました。本校は358名募集のうち、男子238名・女子270名・合計508名の希望があり、倍率は1.42倍でした。昨年度の同時期は1.51倍です。昨年度よりも高校受検希望者数が全県で約2,000人減少し、私立希望者が約1,900人増えていることを考えれば、有難い数字です。本校の場合は県外受検希望者もいますので、508名を超える人数になると思われます。
全体を見てみると、やはり少子化と授業料無償化の影響が出ています。特に少子化が激しい県北地域の高校は苦戦を強いられています。そうでなくても中高一貫校の私立は中学生から募集していますので、高校から入学する公立は厳しい状況です。本校の場合は、加須市という地理的条件、駅から徒歩約20分というハンディがありながらも、私立に決して見劣りしない23年前に建てられた校舎・施設・設備が生徒募集上かなり有利に働いています。私の世代は授業料が安い公立に行くのが一般的で、私立は滑り止めという感覚でしたが、今では状況がまるで違います。
10月29日付けの読売新聞朝刊10面に「岐路に立つ大学 選抜の行方」という記事がありました。大学も少子化の影響を受け、年内入試に学力試験を課し、優秀な一般受験生を「青田買い」する大学が急増している状況が記されています。指定校推薦に加えて総合型選抜(旧AO入試)を取り入れる大学が増え、募集人員は入学者の半数を超えています。都内の私立校の進路指導担当者は「秋は一般入試に向けて力を伸ばす時期。年内学力入試は倍率も高く、決して甘くない」と釘を刺しています。
昔に比べたら全般的に大学は入りやすくなりましたが、国立難関大学合格は依然として難しいものです。2年生のこの時期から本格的に大学受験を意識させるのも不動岡生に実力をつけて高みを目指して欲しいからです。文武両道が辛いと思ったら、もう一度、進路ガイダンスで配布された冊子を見直してください。先生方からのアドバイスが詰まっています。
10月29日(水)進取の気風No.403「天高く馬肥える秋」
晴れ後曇り最高気温17度。ほんの1か月前までは日傘とハンディ・ファンを片手に登校していた不動岡生たちも今では上下黒の冬服です。見慣れた女子の制服は男女共学になった昭和25年(1950年)からそのデザインは変わっていません。颯爽と歩く不動岡生の姿は実に凛々しく見え、時に「ダサい」と言われる女子の制服も私は素敵だと思っています。「可愛い」制服を優先する人は最初から不動岡は目指しておらず、昔から変わらぬ制服であっても不動岡高校がいいと入学してくれる生徒だからこそ140年の歴史を受け継いでいけるのでしょう。
通勤途中に空を見上げた時、「天高く馬肥える秋」という言葉を思い出しました。残暑が長く、その分秋が短くなり、秋らしさを実感することが少なくなりましたので、こうした秋晴れに幸せを感じます。「秋は空が澄み渡って高く晴れ、馬は肥えて逞しくなる(広辞苑)」を意味する言葉ですが、秋の空が高く見えるのは何故でしょうか。
夏に見られる空は、海からの高気圧によって積乱雲や入道雲のように空の低い位置で発生するため近くに感じられます。一方で、秋は大陸の高気圧によってイワシ雲やウロコ雲のような巻積雲が空の高い位置で発生します。また夏と秋とでは光の色も違うようです。だから秋は天が高く見えるのでしょう。今では地学の授業で雲が発生する理由や雲の種類などを学べますが、昔の人は日々の生活から四季を通して感覚的に理解していたのだと思います。
元々はこの表現は中国で古く使われているもので、唐王朝の詩人である杜甫は「高秋、馬は肥健なり」と詩に詠っています。昔の日本でどこでも馬を飼っていたわけではなかったでしょうから合点がいきました。秋は収穫の季節であり、食べ物もおいしく、心身ともに快適に過ごしやすい時期です。不動岡生を馬に喩えたら失礼ですが、「スポーツの秋」「食欲の秋」「読書の秋」と言われるこの清々しい秋に心身ともに多くの「収穫」があることを願っています。
昨日、PTA華道サークルの方が生け花を持って来てくださいました。今回は染め雪柳、ガーベラ、赤ドラセナの作品です。ありがとうございました。
10月28日(火)進取の気風No.402「読書推進月間」
晴れ後曇り最高気温20度。昨日に引き続き、最高気温が20度を超えて暖かく過ごしやすい一日になりそうです。
さて、10月25日(土)から読書推進月間が始まりました。26日(日)付けの読売新聞朝刊の社説の1つが「本と触れ合う時間を意識的に」というものでした。読売新聞社の世論調査では、1ヵ月間に1冊も本を読まなかった人が54%いる一方で、本をもっと読みたいと思っている人が72%もおり、読まない理由の最多は「時間がなかった」だったとあります。忙しい不動岡生も同様なのではないでしょうか。
社説では「…。ついついスマートフォンを見てしまうことも多いだろう。読書の時間は、意識的に確保する必要がありそうだ。」「短い空き時間に、短編小説や詩を読むのもいい。1日の中で本を読む時間帯を決めておく手もある。1冊との思わぬ出会いが、その後の人生に大きな影響を与えることもある。」と書いてありました。それはわかっていても、部活動と受験勉強でなかなか時間を作れないのが今の不動岡生だと思います。ただ、この社説にあるように、本との出会いがない人は人生を損している気がします。
26日(日)NHK大河ドラマ「べらぼう」の冒頭で須原屋市兵衛と蔦谷重三郎との会話がありました。その中で、「なあ蔦重、知らねえってことはなあ、怖えことなんだよ。物事を知らねえとな、知ってるやつにいいようにされちまうんだよ。」「本屋ってのはな、正しい世の中のためにいいこと知らせてやるっていう務めがあるんだよ。書を持って世を耕す、これなんだよ。」という台詞がありました。
パソコンやスマホのない時代は、知識は本から得るものでした。今ではスマホで簡単に情報を入手できますが、フェイクニュースもあり、鵜呑みにすることは危険な世の中になりました。それでも「物事を知らねえとな、知ってるやつにいいようにされちまうんだよ。」という台詞は真実だと思います。教科書を中心に学び、大学受験のためにたくさん知識を身につけているつもりでも意外と知らないことは多いものです。学校で学ぶのは真実を見極める目を養うためと言えるかも知れません。その上で、真実を「知る」努力をすることは「品格あるリーダー」には必須条件だと思います。
物語や小説・短編などの文庫本でも良いでしょう。専門分野の新書本でも良いでしょう。この読書推進月間に一冊いかがですか。